設計開発

共に働く人の幸せを大切に。リーダーとして技術向上をけん引する女性エンジニア

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稲崎 未生

所属部門は、新商品の開発、圧縮機関連技術の向上、生産における技術的なサポート、技術の継承を担当。その中で、新商品開発を担当しており、商品コンセプト~図面作成~モノづくりのたちあい~試験評価までを行なっている。プロジェクトマネージャーとしてスケジュール管理して各部署と連携しながら開発を進めている。



2012年に神戸製鋼所に入社した稲崎 未生。これまで新製品の開発や技術の向上に携わり、エンジニアとしてのキャリアを築いてきました。現在はコベルコ・コンプレッサの技術・生産本部に所属し、リーダーとして活躍する稲崎。コベルコ・コンプレッサで働く魅力、仕事のやりがいについて語ります。

設計から試作、試験評価まで。長い期間を経て開発した機械への評価がやりがいに

──稲崎さんは技術・生産本部に所属されていますが、どういうお仕事を担当されているのでしょうか?

ひと言でいうと、「空気と熱で未来を変えるメーカー」の未来を支えるものづくりを担当しています。

所属している技術・生産本部での私の役割は新製品の開発です。また、圧縮機(コンプレッサ)に関連する技術の向上や、生産における技術的なサポート、先輩方から受け継いできた技術を後輩に継承することも重要な業務ですね。その中でも私は、オイルフリー圧縮機の設計開発を行うオイルフリー室に所属しています。

圧縮機というのは、さまざまな製造工程の動力源に利用され、「工場の心臓部」にあたると例えられる機械です。ちょっと専門的な話になってしまうのですが、私が担当しているオイルフリー式は、空気の圧縮工程で油分を使用しないため、食品や医療、半導体などのクリーンエアが求められる用途で活躍しています。

──稲崎さんはオイルフリー室のリーダーも担っているそうですね。

はい、リーダーとしては部署の事業方針に沿って、プロジェクトを進行する役割を担っています。業務の分担を考えたり、スケジュールを引いたり。自分が旗振り役となって、目的の達成に向けた提案を行っています。

──プロジェクトの進行も担当されているんですね。ちなみに、コベルコ・コンプレッサには女性の技術者はどのくらいいるのでしょうか?

技術部社員の女性は私だけです。同じ職場で働く協力会社の社員を含めると1割くらいは女性の方がいます。工場全体では生産管理部門や資材調達部門に先輩の女性社員、管理職の方もおられます。女性自体の人数は多くはないですが、議論や発表など活躍の機会は平等ですし、私自身は技術者として特に働きづらさを感じたことはないですね。

──仕事でやりがいを感じるのはどんな時ですか?

そうですね。一番やりがいを感じるのは作った機械をほめてもらえる時ですね。お客様に喜んでいただくのはもちろんですが、社内からフィードバックをもらえることも多く、「良い機械だね」と褒めてもらえるとうれしくなります。

製品開発って、数年かけて行うものなんです。設計から試作を経て試験評価をしたら、決められた要件をどうしても達成できないなど、壁にぶつかることもよくあります。そういう苦労を経て、図面で二次元だったものが機械として三次元になっていく。そして加工や組み立てなど他の部署の協力を得て完成した機械がちゃんと動くのを見る喜びは、技術者ならではのものだと思います。

──難しいからこそやりがいも大きいと思いますが、稲崎さんは仕事をする上でどんなことを大切にしていますか?

大切にしているのは、一緒に仕事をする人たちが安心して働ける環境を作ることです。仕事は社会課題の解決をめざして取り組むものですが、そのためにはまず自分の目の前にいる仲間が、幸せに働けていることが大事だと思うんです。

私の仕事は幅広い部署の色々な方たちと関わるので、課題と目的をしっかり共有し、メンバーの一人ひとりが納得した上で業務に取り組めるように、丁寧な事前調整を心がけています。例えば、何かを依頼するときは、受け取る相手にわかりやすく伝えること。そしてメールだけで済まさず、直接顔を見て話したり、電話したりする。そうやって関係を築きながら、「みんなで一緒に仕事をしているんだ」という意識をとても大切にしています。

入社の決め手は製品スケールと社風。転籍後は部門間の調整がよりスムーズに

──稲崎さんは新卒で神戸製鋼所に入社していますが、どういう理由で会社を選んだのですか?

大学では機械システム学を学んでいたのですが、「その知識を活かしながら、日常生活では使わないような巨大な機械が作りたい」と思っていたんです。なので、就職活動ではさまざまな機械メーカーの説明会に参加したのですが、中でも製品のスケール感にワクワクしたのが神戸製鋼所でした。

そしてインターンに参加し、働く人と会社の雰囲気が明るく風通しが良かったので、「ここなら自分らしく働ける!」と思い、入社を決めました。

──入社後は汎用圧縮機工場設計室に配属されますが、仕事の内容は希望どおりだったのでしょうか?

当初は、個々のお客様のご要望に合わせてオーダーメイドで開発する非汎用製品の担当を希望していたんです。でも、幅広いお客様に向けた汎用製品の開発に実際に携わってみると、想像以上に業務の幅が広いことに驚きました。開発要件の策定、マーケティング戦略の立案、コストの積算、試作の手配・試験、結果の報告・課題改善、メンテナンス性の確認など……。

一から全て考えて開発しているからこそ、お客様が求める高性能の製品を作ることができるんだということを実感しました。そうしたものづくりに携わる楽しさは、汎用製品でも非汎用製品でも変わらないと思っています。

あと、希望が叶ったと言えば、「海が見える勤務地で働きたい」と伝えていたのですが、播磨事業所の配属になったので叶いました(笑)。

──そうなんですね(笑)。そこでキャリアを積んだ後、2022年にコベルコ・コンプレッサに転籍することになるわけですが、当時はどんな心境でしたか?

「ようやく分社化されることになったんだ」と私は思っていました。というのも、これまで製造部門と販売部門が別々の場所にあり、使用しているシステムも異なっているなど、大きな会社の一部門だから仕方がないものの、仕事を進める上で効率が悪い側面がありました。ですから、分社化して機能が一体になることで、仕事が進めやすくなると思いました。

──稲崎さんご自身は所属する会社の名称が変わることに不安はなかったのでしょうか?

私の場合、不安はなかったですね。会社の方針は従来のままですし、担当する業務内容も一緒に仕事をするメンバーも変わらなかったので。むしろ販売部門との調整にかかっていた時間を短縮できると期待していました。

──その期待は実現しましたか?

そうですね。分社化して組織がいい意味でコンパクトになり、部門間のコミュニケーションが以前よりスムーズになりました。それと経営層との距離も近くなったので、意思決定のスピードも早くなったと感じています。

リーダーとしてプロジェクトをけん引。メンバーと協力して困難なミッションを達成

──稲崎さんは技術者として10年以上活躍されていますが、特に印象に残っているお仕事はありますか?

印象に残っているのは、約2年前から取り組んできた生産基盤強化プロジェクトです。数カ月前に完了したのですが、機械を生産する設備の向上に向けて、私がリーダーとしてさまざまな部署を巻き込みながらプロジェクトを推進しました。リーダーとして私自身が新しいことに挑戦して成長を感じられたこと、そしてみんなと一緒に目的を実現したという達成感が非常に大きかったです。

──プロジェクトの内容を具体的に教えてもらえますか?

社外秘の情報になるので詳しくはお伝えできないのですが、スクリュ圧縮機を安定的に生産できるよう、部品の加工作業をデータ化するというプロジェクトです。簡単にいうと、職人技のDX化といったところでしょうか。

スクリュ圧縮機の主要部品であるスクリュロータは、測定・加工作業ともに職人の手によって管理されてきました。図面の値を測定する際にも、ミクロン単位で加工調整を行う際にも、職人の高度な技術が必要だったんです。しかし職人の高齢化などにより、従来のやり方では生産の継続は困難な状況。また、職人の業務が属人化しているため、人が変わると品質が維持できないことも、汎用事業を拡大する上で課題となっていました。

そこで、職人の技術や経験に頼っていた作業を、最新の測定器を用いて加工・管理できるよう、全て明確な数値として設計し直すプロジェクトを開始。私が中心となり、理論だけでは数値化できない部分を、試作し試験を繰り返すことで、最適な設計値を決定していきました。

──どういう点が難しかったですか?

理論上は正しくても、上手くいかないことって多いんですよね。実践したら思いも寄らないような異常が起こったり、設計を変更した個所とは違う部分の動作が変わってしまったり。要因があまりに複雑で、なぜそういう結果になるのかが、どれだけ追求してもわからないことが出てくるんです。要因を見つけてどう解決していくのかが難しかったですね。

──どうやって解決していったのでしょうか?

さまざまな要因がある中で、全てを特定して解決することはスケジュール的に不可能です。では、どこを落としどころとすれば目的が達成できるのか。品質保証や製造室など、さまざまな部署にも意見を聞きながら、一緒に知恵を出し合い追求していきました。

リーダーとしてメンバーと丁寧にコミュニケーションを取ることが大事だと考え、毎週進捗会議を開催。クリアしなければならない課題が多く大変なプロジェクトでしたが、メンバーの協力のおかげでどうにか乗り越えることができました。関わってくれた皆には本当に感謝しています。

技術のさらなる向上と次世代への継承をめざして。仲間と共に研鑽を重ねていく

──さまざまな経験を積んできた稲崎さんですが、今後の抱負を教えてください。

そうですね。社会人になって色々な仕事に携わってきて最近よく考えるのは、人間は自分の中にあるものしかアウトプットできないということと、それを自分のためだけに使うのはもったいないということ。

だからこそ、世界に向けて新機種を開発できるよう、技術者としての知識やスキルをもっと高めていきたいと思いますし、正確でわかりやすい技術資料の作成にも力を入れ、これから未来を担う次の世代へと、培ってきた技術をしっかりと継承していきたいと考えています。

──どんな仲間が一緒に未来を担ってくれたらうれしいですか?

主体性がある方ですね。コベルコ・コンプレッサは自ら手を挙げれば挑戦させてもらえる会社です。そのかわり、待っていたら指示が来てただそれに従えばいいという環境ではありません。もちろんOJTはしっかりしているので、業務の進め方などは丁寧に教えてもらうことができます。

仕事を任せられるようになったら、自分で提案できることが大事。そしてその提案がなぜ良いのか、根拠を学問的に説明できることが理想ですね。そのためにも勉強を惜しまず、貪欲に知識を吸収していける方が活躍できると思います。

──コベルコ・コンプレッサの技術者として活躍するには、知識のほかに何が求められますか?

新製品開発においては、色々な部署と関わることになります。そのため、他部署の協力を得るためにも、どういう製品が作りたいのか、明確に自分の意見を持っていることが求められます。それは決して自己主張が強ければいいということではありません。他の人の意見にも耳を傾け、上司に相談してアドバイスをもらうなど、色々な視点から検討してみる。そしてその上で、自分が思う最善の提案をするということです。

コベルコ・コンプレッサには、信頼性・耐久性・省エネ・性能・顧客課題の解決といった、製品開発設計ポリシーがあります。私たちはそれを念頭に置きながら、よりお客様に喜んでいただける製品を開発しています。そこに少しでも共感し、やりがいを見出せる方と、一緒にエンジニアとしての研鑽を積んでいけたらと思います。

※ 記載内容は2023年9月時点のものです

【ポイント】

(1)技術・生産本部の役割は新製品の開発。コンプレッサに関連する技術の向上や生産における技術的なサポート、先輩たちから受け継いできた技術を後輩たちに継承していくこと。

(2)自分が設計したものが、加工や組み立てなど他の部署の協力を得て完成し、その機械がちゃんと動くのを見る喜びは技術者ならでは。

(3)技術者として男女問わず、議論や発表の機会など活躍の機会は平等に与えられている。