上海のスピード感に刺激を受けて。走りながら考える中で見えたものづくりの本質
萩原 健一郎
2012年に中途入社した萩原 健一郎。現在は上海の質量管理部に所属し、顧客の工場での現地調査や、品質管理に携わっています。スピード感を重視する環境に刺激を受けながら、ビジネス感覚やものづくりの知識に磨きがかかっていると話す萩原がコベルコ・コンプレッサで働く醍醐味を語ります。
上海でトラブル対応と部品の品質管理を担当。求められるのは、スピード感と柔軟性

──現在所属されている部署と仕事内容について教えてください。
| 私が所属しているのは、神鋼圧縮機製造(上海)有限公司の技術本部 質量管理部です。副部長として約20人の部下をマネジメントしています。 主に二つの業務を担当しています。一つは、トラブル発生時のお客様対応。トラブルの原因を究明するため、お客様の工場を訪問して現地調査を実施し、再発防止対策を行います。機械の使い方に関する相談にも対応しています。 もう一つは、サプライヤーの品質管理です。圧縮機の品質維持に直結する部品の品質安定化に向けた活動に携わっています。 |
──日本と中国で仕事の進め方の違いを感じることはありますか?
| 中国でも日本でもお客様の機械復旧が第一優先ですが、中国では故障原因の深堀りが日本ほど重視されないケースが多いです。しかし、産業成長フェーズにおける中国において、品質は今後他社と差別化できる重要ポイント。故障した部品を工場に持ち帰り、設計部門、製造部門、さらには部品メーカーと一緒になって原因調査を実施することで、日々品質改善を実施しています。 |
──中国での品質を安定化するためにどのようなことを行っていますか?
| 品質の安定化を図るために、部品ごとに担当者が定期的にサプライヤーの工場を訪問し監査を実施してきました。製造業の品質管理において重要な要素である「4M」、すなわち「Man(人)」「Machine(機械)」「Material(材料)」「Method(方法)」を重点的にチェックするようにしています。 4Mに変更があった場合は4M変更申請書を提出してもらう決まりになっているのですが、書類から分かることは限定的です。現地に行って直接設備を見ないと気づけないことが多いため、実際に工場を訪問することを大切にしてきました。時には販売店を展開している東南アジアやインドに出かけることもあります。 また、上海工場が中国メーカーから購入している部品の中には、日本の播磨工場に支給しているものがあるため、中国での部品の品質が不安定になれば日本の生産にも影響します。そのため、サプライヤーの品質の維持・管理を徹底することはとても重要だと考えています。 |
──中国で品質管理に関わることの面白さは何ですか?
| 中国では仕事のスピード感が「とても速い」と感じます。日本ではしかるべき手続きを踏む必要があるケースでも、中国ではまず行動して上手くいかなければまた別のやり方を試すという具合に、走りながら考えるのが基本です。最初から100点を目指すのではなく、60〜70点でもいいからスピードを重視してトライアンドエラーを重ねていこうとするところに面白さを感じています。 |
メーカーで製品に関する知識や技術を深めたいと、コベルコ・コンプレッサへ

──前職でのお仕事の内容と、コベルコ・コンプレッサに転職を決めた理由を教えてください。
| 以前、電力会社に勤めていたのですが、その時は火力発電所内の設備の管理や運用を担当していました。転職を考えるようになった理由は二つあります。一つは、出身地である関西に拠点を移したいと思っていたこと。もう一つは、施設内で機械を運用する側ではなく、機械メーカーの一員として製品に関する知識や技術を深く掘り下げたいと考えたことです。 数ある機械メーカーの中から当社を選んだのは、選考の過程でフランクに話しかけていただけるなど、社内の雰囲気の良さに惹かれたからです。上司、部下の立場に関係なく、なんでも自由に発言しやすい風土があると感じて入社を決めました。 また、前職でエアコンプレッサを使用する機会があり、当社が扱う機器に馴染みがあったことも理由の一つです。学生時代に熱流体系を専攻していたので、その知識を少しは活かせるのではないかとも考えていました。 |
──入社してから現在まで品質管理の仕事に携わってきたと思いますが、当社の品質管理の特長は何でしょうか?
| 入社して最初に配属されたのが品質保証グループで、その後、製造グループに移りましたが、1年後には品質統括室へ。それ以来、ずっと品質に関わる仕事に携わってきました。 当社は品質へのこだわりがとても強いです。サプライヤーの管理だけでなく、工場内での組み立てに関しても詳細な組み立てチェックシートや要領書を作成するなど、部品と組み立ての品質の確保に重点を置いてきました。 お客様の工場で組み立てに起因するトラブルがあれば、同じことが起きないよう組み立てチェックシートを改訂するなど、徹底した管理を行っています。 |
言語の壁を越えたトラブル対応で得た手ごたえ。大切にしてきたのは、誠実さとお客様目線

──入社されてからこれまで特に印象に残っている出来事はありますか?
| マレーシアへトラブル対応に出かけたときのことが記憶に残っています。日系企業のお客様だったのですが、正確な情報をもとにお客様へご説明するために、自ら原因調査のために現地へ向かうことになりました。 現地のお客様とは英語でコミュニケーションをしなくてはなりません。サービス員に指示を出すのも全て英語です。日本国内で日本語を使って対応するときとは負荷の大きさが全く違うため、苦労がありました。しかし、懸命にトラブルと向き合った結果、無事に原因を明らかにできた時はうれしかったですし、大きな手ごたえを感じられました。 |
──現地トラブル対応を通じて、どんな気づきや学びがありましたか?
| トラブルの原因調査の経験を積むたびに、機械についての技術的知識が高まるのを感じます。現地で現物を見なければ分からないことが沢山ありますし、効果的な再発防止策を打つためにも、現地に足を運んで現場の状況を確かめることが一番の近道だと思っています。 |
──現在の仕事のどんなところにやりがいを感じていますか?
| 日々さまざまな問題と直面するため計画通りにいかないことも多い一方、現地調査を行ってトラブルの真因を突き止めたときは大きな達成感を覚えます。 また、設計に問題があれば設計担当に、組み立てに問題があれば製造担当に、部品に問題があれば部品メーカーに、それぞれ改善を求めて再発防止に貢献していけるのは、品質の仕事ならではと考えています。しかも、その過程で知識や技術が向上し、ものづくりに対する知見が深まっていくところに、この仕事の面白さや醍醐味があると思っています。 |
──仕事をする上で大切にしていることを教えてください。
| 「他者貢献」の精神を大切にしています。他者に対して貢献することが、自分のモチベーション維持や、やりがいにつながると感じているからです。社外であればお客様に満足いただくこと、社内であれば部下の相談にのって悩みや問題の解決を助けることをいつも心がけています。 特に2023年からは管理職に昇格し、半期ごとに業績をレビューしたり、定期的に面談したりと、部下を育成する立場になりました。現地の人は自分の業績評価に対してとてもシビアで、評価結果に対する明確な理由を求めるところがあります。メンバー全員が仕事に対して前向きに取り組めるよう具体的な目標を設定し、進捗管理しながら達成をサポートしていきたいと考えているところです。 |
異なる文化・言語圏だからこそ、言葉の壁を乗り越えて通じ合う喜びと達成感

──今後の抱負を聞かせてください。
| 部下の育成だけでなく、質量管理部の要員編成にも取り組んでいきたいです。現在のメンバーで何を成し遂げていくのか、そのために今の人数は妥当なのかなど、現在よりも大きなプロジェクトの実現も視野に入れながら可能性を模索しています。 もちろん、質量管理部の目標(KGI)達成に向けた具体的なアクションとKPIの策定にも力を入れていくつもりです。 |
──上海で休日はどのようなことをして過ごしていますか?
| 週に1回、教室に通って中国語の勉強をしています。週末にはゴルフを楽しむこともありますが、最近凝っているのが散歩や小旅行ですね。行動範囲はほぼ上海市内に限られますが、SNSのようなアプリを通じて新しい名所やおいしいお店、美しい風景などを見つけては出かけています。 |
──中国で働くことにどんな面白さを感じますか?
| 言葉の壁を乗り越えて通じ合う喜びがあるのは、異なる文化・言語圏だからこその面白さじゃないかなと思います。時には機械に関する説明がうまく伝わらず、最終的にはノートに絵を手描きして伝えることもあります。言葉の通じない技術者同士が技術に関することを介して意思疎通が図れたときには、「言葉や国境を越えた仕事をしている」という思いが湧いてきます。 また、上海は電車やタクシーなどの料金が安い上、交通網が充実していて移動が便利です。私が住む周辺には日本人の口に合った食べ物を提供しているお店が多く、とても快適に過ごせています。これといった不満がないどころか、生活しやすいと感じているくらいです。 上海には多くの日本企業が進出していることから、日本人によるさまざまなコミュニティがあり、他社の方と知り合う機会が増えました。業界や職種の異なる方とコミュニケーションできるのはとても楽しいですし、今後のキャリアを考える上でもプラスになると感じています。こういった貴重な経験をこれからの仕事に活かしていきたいと考えています。 |
※ 記載内容は2023年10月時点のものです
| 【ポイント】 ①中国での部品の品質が不安定になれば日本の生産にも影響する。サプライヤーの品質の維持・管理を徹底することはとても重要な仕事。 ②「機械メーカーの一員として製品に関する知識や技術を深く掘り下げたい」という想いは、現地に足を運んで現場の状況を確かめるという仕事によって叶えられている。 ③言葉の壁を乗り越えて通じ合う喜びがあるのは、異なる文化・言語圏での仕事ならでは。日本とは違う価値観にふれることで視野が広がる。 |